とはいえ席が隣なことと、お昼ごはんの時間一緒にいることと、係が同じなこと。それくらいなんだけどなあ。
寮についてはとくに怪しまれることもないし…。
「勘違いって?」
この学校にきて3週間くらい経ってるのに、本気でわからないのかな。
「わたしといると楽しいとか、好きとか…可愛い、とか……あんたはただ口先で言ってるんだろうけどまわりはそうは思わないの。とくにこの学園の人たちは誰かと誰かがどうのこうのって類いのことに対して過剰なくらい反応するんだから」
自分で言っておいてはずかしくなってくる。でも、本当のことだもん。
あまり口先だけでテキトウなことを言われちゃ困るんだよ。狭い世界なんだから、なるべく平穏な暮らしをしたいの。
「芸能人だってあるでしょ?ピカロはどうかわからないけど、メンバー同士とか共演者同士がちょっと意見ぶつかっただけで不仲だって言われたり、ライバル役するだけで不仲だって言われたり、恋人役だからって本当に付き合っているかのような記事書かれたり…うちの学校は、それが、声なの。言葉なの。まるで事件みたいにあることないこと言われるんだから」
「…なんとなく、そういうのは芸能界と同じで激しめな人たちが多いなとは思うけど」
わかってるなら話がはやい。
納得してもらわなくちゃ、と思っていると、ふいに長い脚が立ち止まった。
「ふみと?」
はやく帰って明日明後日の授業の予習をしたいんだけど。
そんな念を込めて呼んだのに、彼はやっぱり気づいてくれない。
「俺、べつに、口先で言ってねーよ」
暗いから表情が見えない。
だけど声色は、戸惑いを帯びているように感じた。
「本当にアリスは可愛いし、アリスがいるから楽しく学校に通えてるし、アリスのこと、好きだよ」
だからどんなニュアンスを含んでいるのか、ぜんぜんわからないよ。
なんでそんなこと。



