世界でいちばん 不本意な「好き」



仲良しでもなければ好きでもない。

そう否定しようと口を開いたけど、くもりなき眼を向けられて何も言葉が出てこない。


「ふみとはねー、アリスのこと、好きだって言ってたよー」

「えっ」

「あたしも聞いたー!アリスがいるからまいにちがっこう楽しいんだって」

「……」

「ミカたちも、アリスがいる日の学童だいすきー」


かっ…かわいい!!

そこらへんにいる女の子たちをまとめてぎゅうっと抱きしめる。


みんな天使すぎる。本当に嫌される。はあ…かわいい。バイトの時間は減るけど、学童の時間が一番好き。



「え、なにこの可愛い光景」


この男さえいなければ。


「やば、女の子たちでくっつき合ってるの可愛いし、癒されて顔がゆるんでるアリスが可愛いんだけど。レアだな」

「……ふみと、きもちわるい」

「なんでだよ!視覚に素直になっただけなんだけど!」


なんなの。邪魔をしてこないでほしい。ほら、天使たちがみんなふみとのほうに行っちゃう…!


そう。今までは男の子も女の子もみんなわたしと遊んでくれていたのに、ふみとが来るようになってからはすっかり人気が取られてる!

しょうが焼きもハンバーグもとんかつもおいしかったけど、それとこれとは話が変わってくる。


そう。わたしはなんでも一番でないと嫌なのだ。



最後のお見送りとともに学童での時間がおわって、日が暮れた学園の敷地内を仕方なくふみとと歩く。


「あのさ、みんなに、あまりへんなこと言わないでくれる?」


薄暗くてもきれいなでこぼこがわかる横顔まで憎たらしくなってきた。


「え、へんなこと?」

「わたしの話。兄弟がいる子もいるんだから、どこでどう勘違いされたうわさが流れるかわからないでしょ」


ただでさえ相変わらずわたしたちはアヤシイと言われているんだから。