世界でいちばん 不本意な「好き」



お弁当にしょうが焼きなんて…すごすぎる。これが芸能人の稼ぎってやつか。


「おいしくなかったら食べないからね」

「おーしやる気出てきた」


けっきょく明日も一緒に食べることになってしまった。

仕方ないから、ウドのきんぴらはおおめに持って来よう。


正直に言うと、隣の席じゃなければ関わる機会なんてなかったと思う。

それにしてもどうしてこんなに懐かれてしまったのか──。



学童保育所に久野ふみとの姿があったときはさすがに発狂した。心のなかで。



なんでここにいるんだ。

なんで放課後までこの顔を見なくちゃならないんだ。


「アリスがこの係だって聞いたから」


聞いたから何。わたしの癒しの聖域が……侵されていく……。

子どもたちとじゃれ合いながらこっちに話しかけてくる。こっちはため息しか出てこないよ。


「あんた吹奏楽部に入るんだって張り切ってたじゃない」

「やー…アリスの言うとおり、ちょっと気まずくって」


え、気まずいなんて感情持てたの?


「ショーマくんの軽音部も見てみたんだけど、ロックの演奏はあまり得意じゃないし」


まああの音質じゃあね。ピアノは特にそうだけど、ギターもどちらかといえばクラシック寄りだった。


「だからってなんで…」

「アリスがいるところは、どこでも楽しそうだから」

「……」


そんなに期待されても困る。

けっこうな態度をこっちはとっている自覚があるのに、なんでこんな、めげないんだろう。


「というより、俺がアリスといると楽しいからなんだけどね」


ただ言い合ってるだけなのに?

へんなの。とってもへん。