世界でいちばん 不本意な「好き」



ようやく中庭に着いたと思ったら、いつも座っているテーブルのパラソルの下に先客がいた。



「やっときたー。あれ、紗依たちも来れたんだ」


いや、なんでショーマがいるの。


「ふみと、おれのことも誘ってくれるかと思ってたのにアリスに夢中だから先に来ちゃったよ」

「えっ、ショーマくん、今日も一緒に食べてくれんの?」

「これからは一緒に食べようよ。友達じゃん」


バンドだって助っ人メンバーで入るだけなくらい特定の誰かと仲良くするようなキャラじゃないのにどうしちゃったの。

ふみとは目を輝かせてよろこんでいる。これ、ショーマがいるならわたしは別にいらなくないか?


とりあえずショーマから一番遠い場所に座るとなぜかふみとが隣にきた。いや、ふつう、青髪の隣に座るでしょ。なんなの。


「……わ、すごい」


楕円形の一段弁当。木目でおしゃれなそれかれ出てきた彩りの良い中身に、思わずくぎ付けになった。

白いごはんの上をからあげ5つがお行儀よく並んでいる。それに、ひじきと、ほうれん草のおひたしと、ミニ春巻き。小エビが透けている。ミニトマトものってる。久野ふみとのお弁当、すごくおいしそう。


こんなのが作れるのにわたしのお弁当をおいしそうなんて、ちょっといい加減にしてほしい。

あんたのほうがぜんぜんすごいじゃんか。


「からあげふたつね。ごはんのところのせていい?」

「あ、うん」


ふりかけもかかっていないまっさらなそこにカリカリの衣をまとった鶏肉がのる。それだけで質素なお弁当が華やかになった。


「はやくきんぴら食べたい」

「ちょっと待って急かさないでよ。…こっちにお弁当箱寄せて」

「はーい」


からあげがあったそこに、昨日より少し多めに置いてあげる。量を増やしてもお肉の代わりにはなれないだろうけど。