世界でいちばん 不本意な「好き」



そんな人を庇った、ようなかたちになると、良い目では見てもらえない。

めんどくさくてたまらないけど、それが大多数の考えなら、息をひそめるしかない。ひそめられないから寧音は反感をくらってしまうんだ。


「ふたりが久野ふみとと話さない理由は、好きな芸能人だからでしょう。ほかのみんなと違って」


ほかのみんながみんな、悪いように思ってるわけじゃないだろうけど。


「わたしには、どっちもないから」


国民的アイドルだから話しにくいわけでもないし、穂菜美ちゃんや寧音とのことなんてどうだっていいし。


「あれだけ話しかけられちゃ、無視するほうが面倒なことになるって判断なの」


名前を呼んで話しかけてきてるのに冷たくあしらうのは、なんというか、疲れる。


「みんなの気持ちはわからなくなりけど、それでも、久野ふみとに何か嫌なことをされたわけじゃないのにね」


汐くんにもっと嫌なことを言いそうになった時に止めてくれたっていうのも大きいかも。



「だって、今のところ、悪いひとじゃないよ」

「……」

「まあ、そんなこと、わたしより紗依とあっこのほうが知ってるだろうけど」



大好きで、ずっと応援してきた芸能人がいきなり活動を休止しちゃって。

落ち込んでいたら突然目の前に現れて。

年上なのに同級生として同じ教室で過ごすことになって。


気持ちを想像すれば、受け入れにくいことだろうなあって思うよ。


「そろそろバイト戻るね。ゆっくりしてって」


だから無理にとは言わない。まわりからの反応もあるし…言えない。だけど心細いのもたしか。


ふたりには勘違いされたくないなあ。うわさを鵜呑みにしてもらいたくないなあ。

そんなふうに思っていることくらいは、伝わればいいな。