世界でいちばん 不本意な「好き」





「アリス…昨日のお昼、食堂でふみとと間接キスしてたって本当?」


お水、吹き出しそうになった。


「付き合ってよって言われたって本当?」


ついに吹き出しちゃった。

休日のカフェのバイトの休憩中、立ち寄ってくれた紗依とあっこと一緒にテーブル席に座り、ひと息ついていたらその言葉。


「付き合う!?」

「そう。なんか、アリスといると楽しいから付き合ってって、食堂で堂々告白されてたってうわさになってたよ」


シッカリ飛び火しているらしい。昨日まではすぐそこにあった平穏が遠ざかっていく。

だめだ、頭痛がする…。


「それにふみとが使ってたスプーンでアリスがふみとのカレーを食べて、アリスが使ってたお箸でふみとがアリスのお弁当を食べてたって」


な、なにそのナマナマしい言いかた。間接キスだとか、そんなことまったく気にしてなかった。


「あたしはあーんし合ってたって聞いたよ」


しかも話がちょっと膨らんでる…!

女の子特有、というよりかはうちの学園特有かもしれない。誰かの何かに対しての過剰反応。

苦手だけど慣れた。慣れたはずなんだけど、自分にマイナスなことが向かないように仕向けてきた身としては慣れない。


そう。久野ふみとと関わることはマイナスなイメージにつながる。悪いけど。

面白可笑しくネタにされたり、やっかみの対象になったり。そういうの、わかっていたのになあ。なんで誘ったんだろう。だいぶ後悔中だ。



「あーんはしてないし、付き合うっていうのは月曜日も食堂についてきてよってニュアンスのやつで…」

「というか、アリス、なんで史都のこと庇ったの?」


うまくやってはいるけど、わたしが上っ面なことは、たぶん学園の大半が気づいているんじゃないかな。

この学園の人たちは、自分に害のない人間であればその人が本心を隠そうが腹の内で何を思っていようが関係ないんだ。


つまり本気で異物。2年で築いた3年生たちの秩序を乱すかもしれない。そう判断されている。