世界でいちばん 不本意な「好き」



穂菜美ちゃんみたいにミーハー心が湧いてもおかしくないのに、ふたりはなんというか、謙虚って言ったらいいのかな。というよりだいたいみんなそうなのかも。

これは、やっぱり久野ふみと、みんなで仲良くはむずかしいかもしれないね。


「…そんなに良いんだ、久野史都って」


顔はまあ、今までの人生で出会ったこともないくらい、整っているとは思うけれど……馴れ馴れしいししつこいし、どちらかといえばうざったいのにな。


「良いって…良いに決まってるでしょ!アリスに教えてあげる!」

「え、なにを…」

「史都の良さ!!」


えー…頼んでない。

断ろうとしたけどすでに遅し。あっこはどこからともなくノートの束を取り出してひとつ広げた。



中には雑誌や新聞の切り抜きが貼ってあった。もちろん久野史都やピカロの記事。


「そ、それぜんぶに貼ってあるの…?」

「うん!」


すごい…アナログ…。マメだ。


「ピカロはね、同期のほかのグループより遅く結成されたけどそのときのマネージャーさんが敏腕だったみたいでいち早くデビューしたの。だからこその苦労もあったって周りのスタッフさんとかほかの芸能人の人はよく言うんだけど、本人たちは絶対そうは言わないの。自分たちは運が良くて、たくさんの優しい人たちのおかげで今があるんだって言うの。デビュー当時からメンバーみんな歌もダンスも演技も上手だって評価されてたから、それだけ努力してきたんだと思うんだけど、デビューできたのは田光(たこう)さんっていうマネージャーさんのおかげだって自分たちのことは低くみて…周りへの感謝を絶対に忘れないグループなんだよ」


そうなんだ…。まずいな、ぜんぜん頭に入ってこない。…呪文?