世界でいちばん 不本意な「好き」



これにて終わり。やっと終わり。陸上部の前を通ったときに励先生にお礼を言われて、ねぎらってもらったような気分になれた。正直疲れた。

だって…久野ふみと、本当におしゃべり。こっちのテンションはおかまいなし。被害者ぶったかんじになっちゃうけどずいぶんと振り回されたような気がする。


「ありがとうね、すごい助かった」

「いえ。ちゃんと覚えてくださいね」

「はーい、おさらいします」


教室移動で迷われると、隣の席だからか、学級委員の経験があるからか、なんか申し訳ない気持ちになっていたから、これでもうそういう思いもしなくてすむ。ぜんぶから解放。これで借りは返せたはず。


「じゃあ…帰るから」

「うん。ありがとう、また明日ね」


またお礼を言われてしまった。

そういえば案内中も何度か言っていた。テキトウなのか、ホントウにそう思ってるのか…。


また明日、も、振られた手にも反応せずに、寮へと歩こうと何歩か足を進める。



──── だけど隣には、未だ異物が存在中。


いや、なんで。



「あれ、なんでアリス、正門と反対方向?」


それはこっちのせりふだ。


「わたしは寮だから…」

「え、そうだったんだ。俺も寮だよ。じゃあ帰りも一緒だな」


えええ…最悪。どうやら解放まであと5分くらいかかるらしい。


「久野くん、家から通ってないんですか」

「そー。この学校にいるってバレるリスク、なるべく減らしたいしね」


そういうことか。今の時代、SNSでいくらでもバレそうだけど…やってないからよくわからないけど、そういうのは事務所とかが対策してるのかな。