世界でいちばん 不本意な「好き」



「誰もがちやほやするわけじゃないんです」

「わー人気に奢ってたかもー」

「肯定に慣れちゃうとたいへんですね。今の状況もどうせすぐに打開できると思ってるんじゃないですか」

「え、できないかな?」

「できると思ってたんですか?」

「うん」


のんきだなあ。けっこうシビアな状態だと思うんだけど。


「自分が一般の高校生だったらって考えてみてください」

「自分が?」


「自分がわたしたちみたいな高校生だったら、って。みんな、芸能人なんてテレビのなかの人で関わったこともないんです。とくにこの学園は基本的に由緒ある家庭で育ってきた箱入りだし、幼少期のころからほとんど変わらないメンバーで進級してきた人たちばかりなので外部からくる人はアウェイ。さらにそれが長年休学してた年上で、眼中にないってやつでさえ存在を知ってる国民的アイドルグループのひとりだったら、戸惑うし、物めずらしいし、家柄的に根は真面目な人たちだから最初から馴れ馴れしいというか人慣れしてる人を謙遜するタイプが多いし、学園で一番美少女でだって言われて人気のある穂菜美ちゃんの告白を一拍もおかずに断るなんて逆鱗に触れてもおかしくないですもん」


「えー…あの子が一番可愛いくて人気なの?」


え、その話が重要なんじゃないんだけど。


「そう言われてますけど…」

「てっきりアリスかと思ってた」

「は!?」

「だって自己紹介のとき、みんなアリスが一緒のクラスで良かったって反応してたから」

「…あ、そっちか」


一番可愛いって思われたのかと……おこがましい。いやでも今のは勘違いするような言いかたをするこのひとが悪かったと思う…!