世界でいちばん 不本意な「好き」



壇上に、素人で場違いで誰も知らない3人が現れて、会場内が騒がしくなった。

ふみとのほうを見ると、ぽかんと口をあけている。まぬけな顔でも、かっこよく見えてしまう。


「お邪魔します!しばらくステージも楽器も空くとのことでしたので、即興バンドですがお借りします!ちなみに、オレがギターで、ふたりはピアノです!実力もバラバラで変なトリオですがヤな気持ちにならない程度にやりまーす」


ショーマのテキトウな紹介に寧音は小さく笑う。わたし的にはまったくおもしろくなかったけれど、寧音にはおもしろかったみたい。なんだかんだ、似合っているの。

ふたりで並んでピアノの前に座る。


「小さいころのお遊戯会以来だね、こんなの」

「そうね」


次第に自分たちの実力が周りよりも抜けていることに気づいて、才能があることを知り、優れていることを認め、なにかに追われるように練習を重ねた。お互いの音が、大好きで、愛しくて、こわかった。

だけど本当は、寧音の音で、眠りたかった。


「じゃー聴いてください。picaroの『Mrs.Perfect』」


この曲の歌詞のように、完璧が至高で、完璧であるために振る舞い、何回も失敗した。素直になれないことばかりだった。だけど自分の気持ちに気づかないほど鈍感ではなくて、気付きたくなかったと何度も隠した。

完璧をつくったわたしを、好きだと言ってくれるひとがいることに安心していた。

なのにどうして一番にしてくれないんだろうって、いつもくるしかったよ。


だけど本当は、それでも良いって。
そんなふうでしかいられなくても、好きだと、受け入れてくれるひとを、望んでいた。