世界でいちばん 不本意な「好き」



背の高い彼が足を折って携帯を拾ってくれた。

まだ電話は繋がっていたけど、もう一度話すのがこわくて切ってしまった。


「いいの?」

「…せっかく止めてもらったから、これ以上は、いい」

「そ」


へんなところ、見られちゃった。止めてもらっちゃった。

情けなくて、はずかしくて、たまらなくなる。


わたしだってこんな自分、正しいなんて思ってないよ。だけど、どうしても、一番にしてもらいたい。



「アリスってこういう時泣くのかと思ってた」


さっきからわたしの印象、かすりもしてない。


「こんなことじゃ泣けない」


わたしが泣いちゃ、だめでしょ。

汐くんは、怒ったかな。なんだよって思ってるかな。困ってるかな。…傷つけたかな。


長く息を吐く。たくさんの後悔が、一瞬で押し寄せてくる。

わたしは自分のことが大嫌いなのに、誰かには一番に好かれたいなんて、あべこべだ。


「こんなこと、じゃないだろ」

「え…」

「先に約束してたのにだめになったら、悲しくなるのは当たり前だと思うけど」


何もわからないくせに────


「言いすぎだったけどね」

「…うるさい」

「アリスって不器用なんだなー」

「は!?さっきからわかったような口聞かないでよ!うざい!」

「はは、うざがられた」


なんで笑ってるの。なんでうれしそうなの。意味わからない。どM…?


調子が狂う。

いつもならこういうとき、誰にも言えずに、ずっとずっとくるしいのに。