世界でいちばん 不本意な「好き」


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都内にできたばかりの外資系ホテルのパーティーフロアを貸切りしているらしい。

服を買ってもらえてよかった。せめて、ではあるけど、みすぼらしくて恥ずかしい思いをしなくてすむ。


3人ともそれなりに裕福層の家庭で過ごしてきたけれど、もちろんこんなに大きなパーティーに参加したことはないし、都内を見渡せるホテルのロケーションもはじめて。

参加してよかったの?だめじゃない?

だってだって、疎いわたしでも知っている人たちがいる。もちろんそのあたりで見かけたわけじゃない。


「芸能人しかいねー……」

「ピカロの所属事務所、大手だもんね。メディア露出してる人がほとんど。月湖もショーマも絶対今日のことは他の友達に言わないほうが良いよ」

「たしかに」


ピカロのほかのメンバーにも会ったなんて、申し訳なくて紗依やあっこには言えないよ。

ふみとは着いて早々にマネージャーさんらしき人に引っ張られ、今はえらそうな人たちと話している。いつも同じ制服を着ている人とは思えない。


「メシうまそうだけど食っていーのかな」

「あんたはまずよく食べようと思うね…」

「いや本気じゃねーよ。まぎらわせようとしてんだろ?」


なんにもまぎらわない。もちろんごはんは高級そうだしおいしそうだけど。

ふみと…は芸能人仲間なのかな。偉そうな人たちの輪を抜けて談笑してる。いつもの笑顔になった。


ここは、ふみとがいた場所は、戻っていく場所は、広い世界だなあ。個性に溢れていて、かっこいい。

わたしの世界はちいさくて、ひねくれている。

だからふみとが広い世界にいることを、うまく見ることができない。