世界でいちばん 不本意な「好き」



「自分で選んだの?」

「そんなわけないでしょ。好みじゃないもん」

「オレオレ!天才じゃね?ちょー似合ってる!」

「ショーマ天才。将来はピアニスト佐原寧音の専属コーディネーターだよ。就職先が見つかってよかったね」

「好きなやつに雇われるとかダサッ。でも良いかも」


気楽なやつだな。


「大人になってもショーマの面倒見るなんて嫌よ。はあ。史都さんはかっこいいなあ。自分で夢を決めて、そのために道を選んで、叶えて、今も継続してて、私たちにお洋服をプレゼントしてくれる。ショーマが今のまま史都さんと同い年になってもきっと史都さんみたいにはなれないんだろうね今のままじゃ。進路だってテキトーにエスカレーターに乗るつもりでしょう」


天使みたいなかっこうをして、言うことは厳しい。痛いところを突かれたと言わんばかりに苦笑いを浮かべるショーマ。

わたしもだいたい寧音と同じことを思っているけど、いざ言われてるところを見るといたたまれないような気持ちになる。


「まあまあ。ショーマらしいじゃん。夢があれば偉いわけではないし、今は考えられないこともそのうちタイミングがきて考えなきゃならなくなるでしょ」


なんとなくフォローに入ると猫目がキッと睨んできた。美しく迫力があってこわいです。


「そうやって月湖が甘やかしてきたから、私なんかに引っかかるし、今もふわふわしてるんじゃない。かっこいい史都さんを見たら比べたくもなる」

「や、人と人を比べちゃだめでしょ。わたしたちだって散々周りから比べられてきたじゃん。勝手になんなのっていつも思ってたよね」

「私はいつも月湖には敵わなかったよね。だけど周りからの言葉は全部本当のことだって受け止めてきたよ」

「…てか、やつあたりだよね、ただの。ショーマがどうして寧音を選ぶのか、今でも好きだって言ってくるのはなんでか、わからないんでしょ。自信がないから」


待って、なんでショーマのために言い合いしなくちゃならないんだ。