世界でいちばん 不本意な「好き」



それどころかまるで、わたしがふみとの、とくべつみたいで。


「バッグとシューズはこれね、アリス。サイズたぶん大丈夫だと思うけど念のため試し履きして」


丸いつま先のラメミュールとシンプルな黒のミニショルダーを渡される。靴のサイズはぴったり。なんで知ってるんだろう。こわい。

わたしが着替えているうちに、ふみとは3人分のお会計をすませたらしい。

やっぱり大人なんだな。財力って魅力のひとつだよね…。目の前でこう、さらっとされるとぐっときちゃう。打算的ぶったコドモって感じだなあ。寧音も同じこと思っていそうな表情をしていた。


「ショーマもスーツ良いね。さすがbottanの作品」

「オレ、次のライブはこれ着る」

「喧嘩して破けちゃうんじゃない?」

「もうしねーよっ」

「するでしょ」


着飾ったのがなんだか照れくさくてすでに口喧嘩をはじめていると試着室があいた。


「うるさいんだけど。行儀わるくて恥ずかしいからやめてくれる」


寧音の着飾った姿なんて今までたくさん見てきた。

だけどだいたいいつも、黒や赤、青みたいな強めの色が多くて、凛とした音色に似合ってはいたんだけれど。


「わ……」

「きれー……」


立体的な花のパフスリーブに、膝丈の白いシフォンワンピース。編み上げのレースリボンの白いパンプス。

黒の髪や瞳が際立って、綺麗。


「こんな天使みたいな格好も似合うんだ…」

「私はなんでも着こなせるからね」


スカウトされたことはあるのは知ってたけど、本当に芸能人も顔負け。ピアニストにしとくにはもったいない圧倒的はビジュアル。