世界でいちばん 不本意な「好き」



しばらく安い金額帯の服を見あさってみたけれど、かわいいけどパーティーに着るにはカジュアルすぎる気がする。

そもそもハロウィンパーティーって何。なんでわたしたちが行くことになってるの。

あまりふみとのもといた世界のこと、知りたくないのに。


「この服かわいいけど、アリスが好きそうな服があっちにあったよ。見に行こうよ」


隣を見るとめがねをかけたふみとがいた。


「え、もう挨拶すんだの?」

「すんだよー。迎えに行けなくてごめんな。突然でさ。気まぐれが多い業界なんだよね」


気まぐれは自分もだと思うけど。


「そっちの服は好きだけど高いでしょ」

「おれが買うに決まってるじゃん」

「何も決まってないでしょ。頼んでないし」

「プレゼントって頼まれてするもんじゃなくね?」

「だってなんのプレゼントよ」

「誕生日とかクリスマスとかじゃないってこと?でも理由なくたってたまには良くね?ショーマくんと佐原さんも好きなの言ってねー」


ほら、気まぐれじゃん。

いつもそれに振り回される。だけど人懐っこい笑顔を見たら、たまらないような気持ちになる。

ずっとこうしてたい。


「服、ふみとが選んでよ」


選んでよ、わたしのこと。


「まかせて。このまえ来たときから似合いそうだと思ってたのがあるんだよね」


これからもそうやって目の前にいて笑って、無遠慮に手を掴んで引いたりしてきてよ。

これじゃふつうにデートしてるみたい。

わたしがいない時もわたしのことを考えてくれているこのひとが、どうしても遠いなんて、へんだね。