世界でいちばん 不本意な「好き」



さすがふみとのグループのメンバーだ。みんな、おせっかいやきで、口出ししてくる。だけどあたたかい。

逃げてばかりじゃいけないことはわかってる。

なんのために穂くんと離れたのか。


「着いたよ。とりあえず3人ともおりてねー」


そういえばどこに向かっていたんだろう。

車をおりると、わたしが好きなブランドショップの前だった。


「bottanだ…」


店舗に来たのは久しぶり。

有名デザイナーがすべての服を手がけているショップで、中には1点ものもあったりする。

ピアノの発表会ではよくbottanのドレスを着たし、私服もbottanのものだけは売りたくなくて、今でも大事に着ている。


「やっぱり知ってる?人気だもんねー。今日はうちの事務所でハロウィンパーティーやってるから、それに着てく服を選んでほしいんだ」

「でも、bottanは金額幅広いブランドなことは知ってますけど、予定にない出費は困るんです…」


ハロウィンパーティー?にわたしたちも参加するってこと?ふみとっていつも言わなさすぎると思う。


「そもそもピカロがこんな路面店にふつうに入って平気なんですか?」

「きっちりしててエライねー。今の時間は貸し切ってるからゆっくり見れるよ」


エライとかではないのだけど。

言われるがままに中へ入る。貸し切りにしたりできるんだ。


久しぶりに入った。やっぱりかわいい服ばっかり…!

デザイナーが人気で、芸能人たちの衣装を手がけたりもしているみたいなんだけど、普段着もちゃんとあってそれがかわいい。金額帯も様々。


「ふみとがアリスちゃんの好きなブランドなんだって言ってた。オレらもここのデザイナーさんにはお世話になってるんだ」


さっくん、が教えてくれた。

好きなブランドの話なんてしたことないのに。たまに着てたから気づいたんだ。人のことをよく見てるなあ。