世界でいちばん 不本意な「好き」



「たまにはうそも必要だよね。それが何かを、だれかを守ることにもなる」


大人で、それでいて住む世界がちがう。人に綺麗に見えるように努力してきた人たちのせりふは、わたしの人生では思わないようなことばかりだ。


「それでも、なるべくふみとにうそはついてほしくないな…似合わないよ」

「アリスと一緒にいるためにうそをつくとしても?」

「…じゃあにーなくんたちはそれをゆるすんですか?ふみときっと自分をゆるさない。わたしも…だめだと思う。ピカロのファンを見てるとそう思うんです。アイドルにプライベートはないなんて思わないけれど…夢を見せる責任をふみとはちゃんと感じてるはずだから」


ふみととわたしは、この先一緒にはいられない。


「おれたちのことも考えてもらえてうれしいし、思ったよりちゃんとしてる子で安心できたけど、アリスだけで決めないで。ふみとの思いや考えてることも、聞いてみてほしい」


…たしかに、自分ひとりで頑なになっているのかも。

ふみとがどう思っているかは、想像でしかない。


「……ちゃんとしてるふりしてるだけです。ほんとうはあの声で、わたしを選ばない話をされるのが嫌なだけです。こわいです。一番にしてほしいに決まってるじゃないですか」


物分かりが良い人間からは程遠い。

だからこんなに悩んでるし、受け入れられないし、ふみとを傷つけて自分を守ってる。


「そういうの言ってあげてよ。アリスと両想いになれないって落ち込んでたよ」

「とっくに両想いですよ…」


だから困っているのに、ふみとはピカロにまで素直になれていてうらやましい。