なぜか、“ツキコ”って呼んできたときの声が浮かんだ。
わたしに与えられた、まぶしすぎる、特別。
それが一生涯続いてくれたらいいのに、きみは与え続けてはくれない。
離れてく。掴めない。一緒にいてくれなくなる。
一番はくれない。
「がんばってほしいよ。ちゃんとそう思ってる。だいじょうぶだよ」
身の程はわかっている。
ふみとが好きだと認めて穂くんとは別れたけれど、ふみとと釣り合うとかふさわしいとかは思っていない。
この気持ちは、しまっとくべきだ。
いずれ自然と手放せる日まで、しまっとくべき。
「あは。ピカロの前で何語ってるんだろはずかしー。ショーマ、ふみとには絶対に言わないでよね」
笑って流せばよかったよ。
「…ふみとが活動休止してからもよく会ってたけど、高校に復学してからはアリスちゃんたちの話ばかりで楽しそうにしてる」
運転しながらそう話すみはくんは、大人っぽくて、器用だなと思った。
「好きな子ができたって言われた時は焦ったけどね」
にーなくんが顔に似合わず低い声でそう言いこっちを見てくる。
「だけどいくら高校生になったからって青春するには年が生き過ぎてる。ふみとはけっこう客観的にみんなのことを、アリスちゃんのことを見てる。なるべく悩まないようにしてるけど、そうやって意識してる時点でだめなんだよあいつ」
おかしそうに笑うさっくんをミラー越しに見て、ふみとがメンバーみんなから大切に思われていることを目の当たりにした。



