世界でいちばん 不本意な「好き」



寧音もたしかに、という顔をしている。ショーマのおかげっていうのは癪だけど。


「あの、なんでみなさんが…?」

「あーごめんね急に。ふみとが迎えに行こうとしてたんだけど急遽復帰作の関係者に挨拶することになって。だから代わりにおれたちがきたんだ。ふみととはあとで合流するから、ちゃんと会えるよ」


えまくん、が緩やかに微笑う。なんだか見透かされているような気がして居心地が良くない。

それより、復帰作……決まってるんだ。

ほんとうに卒業したら元いた世界に帰っちゃうんだ。



「ふみとの復帰作ってまた恋愛モノかなー。だいたいそうじゃん?オレけっこうみてたよ」


あっこや紗依、新田くんもそんなこと言っていたっけ。ふみとも気にしているみたいだった。


「恋愛の作品に出るなら、ファンの子たちはヒロインに自分を当てはめたりしながら見るんでしょ。あっこが言ってた。それで、どきどきしたり、楽しくなれるなら、ファンによろこんでもらいたいっていうやりたいことのひとつをふみとは叶えられてるってことになる。だから、だいたいそう、なのかもしれないけど、それでも良いのよ。ふみとが演技に向き合ってるからファンの子たちはヒロインになりきれるのよ、きっと」


くわしくないからわからないけど、わかったようなことを言いたくなった。


「まあふみとが殺人鬼の役をやってもあっこはふみとになら殺されちゃってもいい!とか言いそうだけど」


盲目すぎて甲斐くんがかわいそう。あっこらしくて、かわいいけれど。ふみとも、あっこや紗依に褒められるといつもうれしそうだ。