世界でいちばん 不本意な「好き」


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「べつに送らなくていいよ」

「病院行くんでしょ?リハビリサボらないか見張る」

「サボらないよ……」


指はすでにくたくただけど。

昨日は夜中までピアノを弾いて、途中でショーマがギターを弾き出して寧音は歌いながらヴァイオリンを弾き出してすごく盛り上がった。

疲れて眠っていたら、音彩ちゃんの柔らかいピアノの音で目が覚めた。とても気持ちが良い朝だった。

ピアノの部屋のオリエル窓に腰かけて、寧音の肩に寄りかかって眠っていたみたいでショーマに写真を撮られてしばらくいじられた。


朝ごはん、というよりお昼ごはんを食べて、今は病院に向かっているのだけど。

ふたりとも当たり前のように着いてくる。


「夜ずっと一緒にいたからなんかもういいんだけど」

「つれないこと言うなよな。あ、ふみとにさっきの写真送ったらいじけてる。みんなで会ってるのずるい、だってよ」


何勝手に送ってるんだ。


「アリスかわいい。寝顔は幼いね、だって」

「どうせ老け顔だもん」

「ほめてんじゃん」


照れてんじゃん。察してほしい。素直にうれしいなんて言えないの。

しばらく携帯をいじってる。というかショーマも連絡先交換したんだ。


「メッセージアプリで送ったらあぶないよ」

「メールにパスワードかけて送ってるからまあ平気だろ。人生で初めてメールなんか使ったけど。けっこうアリスの写真共有してあげてんだよ。ふみとよろこぶから」

「ちょっと、おかしくない?」

「まあまあ。減るもんじゃないし」


そういうことじゃなくて。寝顔だって不細工なんだから送らないでほしいのに、なんなのこいつ。