世界でいちばん 不本意な「好き」



付き合ってる人はみんな好き同士で。

クラスメイトはみんな、何の裏もなく仲良しで。


そういうふうに思っていそう。



「…わたしのこと、一番だって言ってくれるところ」



好きなところ、たくさんあるよ。
会うたびに増えてくよ。

だけどぜんぶ、それを踏まえて成り立ってる。


誰かや何かの次なんてまっぴら。ほかにも大事なものがある人なんて、絶対に嫌。


「うわ、なにこの女。…って思ったでしょ」

「え、や、思ってないよ」

「そ。べつにどう思われてもいいですけどね」


そろそろ行かなくちゃ。鏡を開いて、髪が崩れていないかだけ確認する。

今日はね、付き合って5か月の記念日なの。だからかわいい髪型しちゃった。ピンクのインナーカラーもばっちり見える。



「なにこの女、とは思わなかったけど」


じっと見つめてくる、黒い瞳。


「淋しいこと言う子だなーとは思った」

「……」


なにこの女、より、よっぽどひどい。


「あ、今、なにこの男って思ったろー」

「~~~っうるさいし!てかなんで今日もいるの!?」

「励くんにまだ校舎案内してもらえてなくてさー。まあ先生っていそがしいだろうしね。今日約束してるけどどうだろー」

「そんなの自分で回って覚えたらいいじゃないですか」


わたしも最初はそうしたよ。あまり聞いてしつこいって思われたら嫌だったから。

このひとは、そういうこと、不安がってない。


「でも誰かと一緒のほうが楽しくない?」

「…自分が淋しがりなんじゃん」

「そうそう、俺ね、淋しいの本当にだめ」


毎日ひとりだから、本当にそのうち学校来なくなりそうだね。


「26歳の大人が何言ってんですか…かっこわる」

「ねー、かっこわるいよねー」


あっこが前に見せてくれたMVのキラキラした格好をしていた人と同一人物だと思えない。

ぜんぜんかっこよくない。

自分で納得するの、なんなの。本当にあのアイドル?