世界でいちばん 不本意な「好き」



「うん、可愛い」

「…っ」


画面に映るわたしを見て、ぬくい表情で、そんなふうにつぶやく。

ずっとわたしのことだけ見てくれたら。わたしだけを好きでいてくれたら。ふみとに帰る場所がなければ。傍にいてくれたら。一番にしてくれたら、その褒め言葉も優しさも甘い態度も、素直に受け止められるのに。


傲慢だ。

だけど、それが、ふつう、恋でしょう。



「写真、送ってよ」

「…じゃあ、連絡先、交換しよ」

「いいの?」


このひとを想うには、ふつうでは、不釣り合いだ。


「アリスがはじめて」


家族とピカロのメンバーしかいない連絡先のラインナップが見えた。そこに入り込むわたしのアイコン。その特別扱いでも足りないわたしには、このひとには不釣り合いだ。


「…ふたりでも撮ってくれる?流出したりは絶対にしない。メッセージアプリで送るのもあぶないよね」

「ははっ。アリスはいつも俺より気にしてくれるよね。でもそうだね。どっちの携帯でも撮ろうよ」


ふみとが気にしなさすぎなんだよ。

自由に、自然に、なるべくいてほしいけれど。だけど、わたしがそうするのはむずかしいから、せめてふみと自身では、大切にしたいものをぎゅっと大事にできるようにしていてほしいんだ。


花にまみれたツーショット。

ふたりとも笑っていて、数秒前の画面の自分が、うらやましくなるくらいだった。


「それじゃ、明日ね」

「うん。…おやすみ、ふみと」


離れたくないなあ。

視界がかすむ。楽しかったのに。うれしかったのに。楽しかったからかな。なんで泣きたくなるんだろう。