世界でいちばん 不本意な「好き」



お菓子パーティーをして、しゃぼん玉をして、たくさんクラッカーを鳴らして、ハーモニカやリコーダーでハッピーバースデーを弾いてもらったりして、写真も撮って、たのしい誕生日パーティーだった。

みんなを見送って、先生たちにお礼をして、ふたりで寮までの道を歩く。


「誕生日、よく知ってたね」

「ショーマくんが教えてくれたよ。アリスは誕生日祝われるの苦手なんだって言ってたから迷ったけど」


ショーマめ。ひと言よけいだよ。


「楽しかった。うれしかった。計画してくれてありがとう。やっぱりパーティーって良いね。うれしかった」


よくピアノ教室でもやったことを思い出した。
お姉ちゃんがわたしだけにくれる自作の優しい旋律も、思い出してしまった。


「よかった。みんながんばってくれたよ」

「うん」

「花束、アリスに似合う」

「色合いきれい。家帰ったら写真撮る」

「もしよかったら今撮らせてよ」

「あ、うん。じゃあお願いします」

「かばんちょうだい。撮るよー」


え、もう?

ふみとの携帯を向けられる。


立ち止まって、花束を抱えて、ふみとを見る。むこうも、こっちを見ている。それだけでくすぐったくて、心臓が高鳴る。いやでも、足掻いても、もう気づかないふりができるほどこのひとの前で器用になれないのだ。


「なんか表情固いよ」

「うるさいなあ。突然撮るからでしょ!」

「それね、秋色紫陽花とピンクのスターチスなんだよ」

「やっぱり紫陽花だよね?季節ちがうのにって思ってたけど、それでもきれいな色で咲けるんだね。すごい。香りも良いよ」


一生枯れないでほしいくらい。
腕に閉じ込めて、この胸に溶けちゃえば良いのに。