世界でいちばん 不本意な「好き」



「こどもみたいなことやろうとしないでよ」

「ちがくてちがくて。お茶同士だから。遊びじゃなくて本気で絶対合うと思うからやってみよ」

「自分ひとりでやれば」

「俺だけおいしくてうらやましがるなよ?」


同じの飲みたいって言ってたのに何しに来たのよ。


席に戻るとすぐにふみとは掛け合わせたそれを飲んでうまいうまいと騒ぎ出す。うるさいなあ。

でも本当においしそうに飲んでいる。


「本当は気になってんだろー」

「なってないし」

「まあまあいいから飲んでみ?アリスは人がうまいって言うと気にするからね。カレーとかからあげとかね」

「カレーはおいしいこと知ってたからだもん。…でもまあ飲んでみてもいいけど」

「どーぞ。自家製茶です」

「お茶っ葉混ぜただけなのは自家製って言わないし。…本当だ、おいしいこれ」

「だから言っただろー」

「こっちにしなよ。こっちはわたしがもらうから」

「えー。いーけど」

「新発見だね。掛け合わせもわるくない」

「じゃあ次はメロンソーダと紅茶試そうよ」

「こどもみたいなこと絶対しないでよ。万が一そのダサい変装がバレたらへんなうわさされるでしょ」

「案外バレないと思うけどなー。母校も地元も公表してないし」

「だからこそでしょ。ふみとがそういうのバレたらほかのメンバーだって探られたりするかもしれないじゃない。卒業まで通えなくなるかもしれないし…」


あれ、なんでこんな話になってるんだっけ。

こんなことぜんぜん言いたくない。考えたくないのに。


「アリスがほかのメンバーのことまで考えてくれるのうれしい」


さっきから、のんきだなあ。


「べつに、わたしは、」

「何があっても、絶対にアリスたちと卒業する。メンバーたちにも話してる。たいていのことはなんとかなるから、大丈夫だよ」



卒業したら、この距離は終わる。

ただのクラスメイトのわたしたちには、一体何が残るのだろう。