世界でいちばん 不本意な「好き」



もはや絶交って言ってきた寧音がわるいんじゃ?


「気にしてないから!」

「気にしてる気にしてる。そういうところ、すげーかわいいよ。ねえ、ミヤサカくん」


穂くんがふみとの視界に入った。

あ、と思ったときにはもう遅くて。


「は………久野、史都?」


自分のプレミアムさをいつまでも理解しないふみとを、穂くんがピカロの久野史都だと認識してしまった。

これはもう、デートどころじゃない。


とりあえずふみととは友達じゃないことを、あとでしっかりと言わなくちゃ。

友達なんて、到底、無理だ。



だってこのひとは、目の前に現れただけで同性の言葉まで失わせてしまうような、国民的アイドルグループのひとり。


友達なんて。

まして、恋人なんて。…好きなひと、だなんて。



かわいいなんて言ってはくるけれど、この夢は、近いうちに跡形もなく醒めていく。


わたしはちゃんとわかってる。


わかっていないのは、久野ふみとだけ。



説明して、と目で訴える穂くんと、とにかくうざったい他3人と一番近くにあったファミレスに入った。

わけがわからない、といった様子でいる穂くんに申し訳ない気持ちになる。この人、本当に、無自覚で。


「えっと…穂くん。この人、久野ふみとです」

「久野ふみとです」

「芸能活動をお休み中で、今は、母校らしいうちの学校に復学していて、実はクラスメイトです」

「だからコスプレじゃないよ」


そこ気にしてたんだ…。