世界でいちばん 不本意な「好き」


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ふみとのあの公開告白は次の日には学園中に知れ渡っていた。

本気で好きかも、なんて言っていたあっこも「目が覚めた。うちはアイドルの久野史都が好き。久野ふみとはお友達」となぜかものすごくスッキリした顔をしていた。

とりあえず揉めることもなくてほっとしたし、やっぱりあっこのことが大好きだなって思えたからよかった。


ふみととはあれ以来、ほとんどいつもどおり。

毎朝必ず待っていて、授業がおわると放課後の予定を聞いてくるしつこさ以外。


こういうところ、理解不能だし、きらい。



「ピカロの曲?」


海浜公園の芝生に座り海を眺めていると、目の前に現れた赤色のカップ。低い声。
隣に座る穂くんからカップを受け取る。あたたかい。カフェオレの甘いにおいもした。


「え?」

「今鼻歌してたの、ピカロだよな」


鼻歌なんて…無意識だ。あわてて鼻をおさえる。穂くんは気にしない様子でココアを飲み込む。


「あんたもアイドル好きなの?」

「や、アイドルが好きなんじゃなくて、……」


いやいや、何言おうとしてるの。おかしいでしょ。


「ああ、でもわかる。ピカロの曲ってたまに耳にちゃんと残る曲があるんだよな。久野ふみとってわかる?」


ぎくり。思わぬ発現に戸惑いながら、小さく頷く。


「ピカロのひとりなんだけど前ピアノやってて、あんたが歌ってたのもそのひとが作った曲なんだよな。小学生の時に出た発表会で久野ふみとも弾いてて、すげーうまかった」


まさか穂くんが“ピカロの久野史都”どころか“久野ふみと”のことを知っているなんて。

そのひと、今、同じ学校にいるよ。つい最近まで隣の席だったの。今日もしつこかったよ。


言えない。

あのひとは、自分ではなんと思っていようと、特別なひとだから。