世界でいちばん 不本意な「好き」




「大切にしてもらえよ、なんて言ったけどやっぱり絶対無理。まじで嫌。俺、アリスのことだけはあきらめたくない」


素直すぎる。
わたしとはどこまでも正反対だ。理解できない。


「わたし、彼氏、できたって言った」

「聞いたね。それが何」

「なにって…何って!自分が告白すればだれでも落ちると思ってるの!?」

「は!?思ってねーよばかじゃねーの!?」

「ばかはそっちでしょばーかばーか!ちゃんと現実みてよ!わたしのこと一番にできないくせに!」



お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、今まで付き合ってきた人たちも、みんなそうだったよ。



「一番だとかそうじゃないとか、よくわかんない文句言ってないで、これからたくさん愛される覚悟でもしとけよ」



な…っ……何言ってんのこのひと…!!


「とにかく今すぐ彼氏と別れてほしい」

「26歳が何言ってんの!?」

「好きな子の前じゃ年齢も立場も関係ねーよ。ただの高校生だし。片想いしてる子と席が隣でさいこーだったのに彼氏はできるわ席は離れるわ災難な青春だな」


久野ふみとは自分のプレミアムさを自覚したうえで、26歳でも、アイドルを休業していても、高校生として、言葉を紡ぐ。

とうとう何も言えなくなったわたしをいいことに、ふみとは強がった笑みをつくる。


「だれよりもアリスを好きな自信はあるよ。これからはそれを知らしめてくから。もう遠慮しない」


いや、今までも、かなり無遠慮だったと思う…!


「とりあえずデートは阻止。彼氏どんなの?どこで待ち合わせ?一緒に行くから。絶対行くから」

「なんなの……うざい!!」

「はいはいうざいねー」


ひどい態度。開き直ってて、信じられない。

わたしだって、ほんとうは。