世界でいちばん 不本意な「好き」




「何飲んでるの?」

「ホットティーだけど」

「ちゃんと朝は食べろよー」


年上ぶったことだけつぶやいて、ふみとは中へ戻っていった。

最近あまり食べれていないことがバレていたのかも。

それにしてもなんか、本当に、音が聴こえたから出てきたみたい。


…ふみと、わたし、告白されたよ。
穂くんがなんて言うかはわからないけれど、わたしを一番にしてくれるって言ってもらえたら、受けようかなって思ってるよ。

わたしにとって、本来、恋愛はそういうもので。

ふみとへの気持ちは、イレギュラーで。


自分のことなのに自分でも受け入れ難いものだから。



「アリス」


放課後、紗依とあっこと出かけようとしたら、学校と駅の中間地点の図書館の前で呼び止められた。

振り向いてびっくりしちゃった。だって汐くんだったんだもん。

付き合っていたころよくふたりで行った図書館。過ぎようとしたら名前を呼ばれた。


「汐くん!偶然だね!」

「偶然じゃなくて待ってたんだ。出かける前だった?ごめん、ちょっとだけ話したくて」


もしかして。穂くんのこと…だったりするのかな。


「アリスのこと借りていいかな?」

「はい、あ、アリスそのままバイト行くよね?また遊ぼう!」


本当はバイトじゃなくて病院なんだけどね。


「うん、ありがとう。また明日ね」


ふたりとも突然の汐くんにおどろいてたなあ。明日、きっとあっこからはいろいろと聞かれそう。



「ごめん、時間あまりなさそうだったのに」

「あ、ううん、ぜんぜん!…なつかしいね、ここ」

「うん。アリスは来てる?」

「最近はあまり…勉強はひとりの時なら寮の部屋でするほうが落ち着くから。汐くんは?」

「僕も実は久しぶりに来た。ちょうど自分のなかでブームだったときにアリスと出会ったんだよね」

「あ、わたしも、そう」


同じだったことに、顔を合わせて笑い合う。

汐くんとまたこうして話せるようになるなんて思わなかったよ。