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「ふみとさんに告ったらあんたのことが好きだからってフラれたんだけど」
不機嫌そうにバイト先に来たと思えば、ふいにそんなことを報告してきた寧音にお茶を吹き出しそうになった。……のは隣の男も同じだったようで。
「寧音、本当にふみとのことが好きだったのかよ!?」
「本当にって何よ。ショーマうるさい。私は月湖に文句言いに来たのになんでいるの?」
「寧音が学校から出てくのが見えてそれで…ってそんなことはどーでもよくて、」
「「あんたの話のがどーでもいいんだけど!」」
は。いけない、バイト後のバイト先のカフェで騒いじゃうところだった。だってショーマがうるさいから、集中できない。
「告白したって、いつの間にっ」
「はあ…学園祭の準備でけっこう仲良くなれたと思ったんだけどなあ。月湖みたいな根暗で頑固で生真面目でメンドくさい性格な顔だけ女子のどこがいいんだろ」
「それは…」
「言いすぎ…」
「でもなんか何も言い返せない…」
「アリスは自分がめんどい自覚あるもんな…」
「本当になんなのあんた…」
何しに来たのこのふたり。
てっきりヨリを戻しそうだと思っていたのにショーマが尻込みしているのか、寧音にその気はさらさらないのか。
「ふみとさんは月湖のことが好きなんだって」
「……」
「まあ、そんなこと気づいてたけどね」
何か、言わなくちゃ。そう思うのに言葉が出てこない。



