世界でいちばん 不本意な「好き」





次の日学校に行くと教室内の空気がとんでもなく重くてちょっと焦ってしまった。

隣の席はまだ空っぽ。


「なにこの空気…あっこ何か知ってる?」


前に座るあっこの肩を叩くと、泣きそうな顔で振り向いた。


「え、なにその顔、どうかしたの…」

「…みて。史都、穂菜美ちゃんの告白断ったんだって」


そういえば紗依の席に近い場所で女子の大群ができてたっけ…と様子を伺うように見ると女の子たちに囲まれてなぐさめられている穂菜美ちゃんがいた。


どうやらわたしが汐くんとデートしている間、彼は告白をされていたらしい。

百戦錬磨の美少女を振る久野ふみともすごいけど、初日に芸能人に告白する穂菜美ちゃんもすごい…。そうとう自信があったんだろうなあ。


「穂菜美ちゃん大丈夫?」

「あ、アリス聞いてよ!史都の振り方最悪なんだよっ」

「きみのこと好きじゃないからごめんねって。穂菜美は勇気出して告白したのにさー!」

「穂菜美のことよく知らないくせに」


よく知らないから振ったんじゃないかな…と思ったけど、告白してそう断られたらたしかにへこむよね。穂菜美ちゃん、プライド高いし。


「久野史都なんて、顔だけだもん」


穂菜美ちゃんが涙声でつぶやく。

顔だけ、の人に告白したのは自分だし、顔だけ、でもじゅうぶんだから告白したんじゃないのかな。モテる子はよくわからないな…。他校に彼氏いなかったっけ。すごいうわさになってたような…別れたのかな。