世界でいちばん 不本意な「好き」



だけどまああれはわたしが悪かった。仕方ない。


「一緒に行こうか?」


紗依がそう言ってくれたけど、詳しく話したくなくて首を横に振って断った。

誰かとトラブルになること、あまり経験したことがない。避けてきた。

昨日の自分の行動をあらためて後悔しながら重い足を動かして正門まで行くと、やっぱり予想通り穂くんが立っていた。



「どうもこんにちは…」

「あ、やっと来た」


わざわざ学校にまで来るなんて完全に根に持たれてる…。仕方ないよね。

渋々、という態度が出ないよう、潔さをアピールしながらお財布から3千円を取り出す。

すると穂くんは長めの前髪の隙間で眉を寄せた。


「何これ」

「え、これを取りに来たんじゃないの?」

「だから、何これ」

「クリーニング代だけど……」

「本っ当、ヤな性格してんな」


どうやらお金で解決させてくれるわけじゃないらしい。一体どんな仕打ちを受けるんだろう。


「じゃあ何しに来たの…?」


行き場のないお金と、戸惑い。


「あの有栖川が今どんな生活してんのか気になって」


今度はわたしが眉をひそめる番。


「とりあえずその金使っていーなら場所移したいんだけど」


や…やっぱりタカる予定だったんじゃ!?

早く来いよ、と気だるげな表情をしながら顎で呼ばれ、これ以上の金額をタカられたらまずいと思い、本当に仕方なく、何もかもをあきらめてついていくことに決めた。