世界でいちばん 不本意な「好き」



お昼のごはんも何か理由をつけてべつべつで食べて、移動教室も一緒にしない。

テスト前だから係もないし、日直の当番もまわってこない。


必要最低限の関わりに、今まで必要以上に関わっていたことに気がついた。

もの足りなくて、淋しくて、だけどそんなこと思う資格はない。



「なんか門の前でアリスのこと待ってる他校生がいるんだけど新しい彼氏?」


放課後、バイトまで紗依やあっこと話していようと思った矢先、クラスメイトが話しかけてきた。


「彼氏はいないけど…」

「そういえばアリスが間空くのめずらしいよね」


う…。それは本当の話で、今までは別れてもだいたいすぐに新しい彼氏ができていた。だけど、まだ隣にふみとがいるから、あまり言われたくなかったなって思ってしまった。


適当に笑って「だれだろう」と検討がつかないことを示す。

伝言を受けたなら名前くらい聞いてきて欲しい。



「A校の制服着てたよ!」


それはつい昨日久しぶりに見た制服だった。


「あ、A校って汐くんが通ってたところじゃない?」


紗依の言葉がだめ押しと言わんばかりにはっとさせてくる。


「えー汐くんが来てるの?汐くん、かっこいいし優しかったよねえ」

「あっこ、たぶん汐くんじゃないや」

「心当たりあるの?」

「うーん……」


きっと昨日のこと、怒ってるのかもしれない。


「穂くんだと思う…」


うん、ぜったいに怒ってる。あのあとすぐに汐くんが来て一緒に穂くんにかかったドリンクを拭いてくれたけど、そのうちわたしの休憩時間がおわってしまってまともに謝れなかったんだ。


「穂くんって汐くんのお友達のイケメンくんだっけ」

「よく覚えてるね」

「うちミーハーだもん」


あなたの幼なじみも相当かっこいいのになあ。


「昨日バイト先に汐くんと来たんだけど、ちょっといろいろあって、制服を汚しちゃったんだよね。クリーニング代の請求とかかも」


なんであんなことしちゃったんだろう。クリーニング代かあ…痛い出費だ。