ショーマは渋々…と言った感じで、ギターを担いでお店を出て行った。これから練習があるんだと思う。
練習だって、寧音たちと一緒にバンドをしてから、やけにまじめにやるようになった。
本当におもしろくない。
人がうまくいく過程を眺めるのって嫌い。
なんて性格の悪いことを考えて、自己嫌悪にすら陥らない。それくらい、けっこうキてる。
ふみととうまく話せなくなった。
もっと好きになるのが、こわくて。
「アリス」
「…もー何?しつこいんだけど!」
バイト中だぞアリス。と自分で自分を注意したくなった。
何度も失恋してきたけれど、こんなに感情を、生活を、時間を、乱されることなんて今まで一度もなかったのに。
ショーマだと思って振り向くと、そこには懐かしい人が立っていた。
何度もした失恋のうちのひとつ。
だけど、たぶん、思い返したなかでいちばんあたたかな出会いかたをしたひと。
そういえば新しいシリーズが出たんじゃないかな。まだ買ってないや。それどころじゃなくて……ふみとは、好きだって言っていたけれど、もう買ったかな。
「し、汐くん…!」
「久しぶり、アリス。元気だった?」
わたしの一番最近の元恋人。
春に別れて、夏が過ぎて、気づけば秋になっていた。
「アリスちゃん休憩入っていいよー」
あのころ大好きだった人が変わらない穏やかな笑顔のまま、お友達を連れてバイト先に現れました。



