世界でいちばん 不本意な「好き」





「アリスさん、今度お休みがあったらデートしませんか?」


コンビニバイトを終えて外に出ると、30分先に上がったはずの新田くんがいて、そんな台詞を吐き出した。

唐突。だけど、予感はあったし、待っていた。


「来週の土曜日、どうかな」

「ぜひ!!」


わたしの返事を聞いてうれしそうな反応をしてもらえると、ものすごくほっとする。

つぎこそは。つぎこそは…と、祈るような感情がわいてくる。



いちばんにしてくれるかな。

固執した思い。
それでも、願ったっていいでしょ。



化粧道具はプチプラだしアイシャドウの種類は2つしか持ってない。

洋服だって着回しができるものを何着か。


それでも少しでも可愛く見えるように髪型に凝ったり、マニキュアを塗ったり、鏡の前で笑う練習をしてみたり…低コストでもおしゃれは念入りに。


だって可愛いほうが、いちばんにしてもらえる可能性って高くなると思うの。

その努力はおしまないよ。


わたし、今日、ぜったい彼氏つくる。


相手は可愛いらしいバイト先の年下くん。芸能活動休止中の年上の同級生じゃない。

失恋をしたら新しい恋をするのと同じように、認めたくない恋はもっと心穏やかにできる恋で上書きする。それが賢い恋のしかただと思う。


いちばんに想われたい。

わたしが叶えるべきなのはその気持ちだけ。