世界でいちばん 不本意な「好き」



あんたがずっとわたしのことを好きでいてくれたら、こんな気持ちになることもなかったかもしれないもん。


「なにをわかったようなことを…」


友達面?元カレ面?そういうの、やめてほしい。
なんて、たぶん、やつあたり。

責めるような口調でつぶやくと、いきなり視界が反転した。


「アリスの悪い癖」


頬を包まれ、強引に上を向かされる。

視界いっぱいにショーマのにくいくらい整った顔が映る。


「すぐ下向く。別れた時も、付き合うことになった時すらそうだった」

「ちょ、なにすんの離して…っ」

「疲れんだよ、アリスの、そういうところ」


突き刺すような言葉を、柔い綿で包んだみたいな声で言う。

朝から、文化祭の日に、いまさら、なんで。


「だからおれは別れる時に言ったんだろ」

「わすれた…思い、出したく、ない」


ぎゅっと目をつぶる。



わたしと付き合っているのにほかのひとを好きになったのはショーマだ。

それって世間一般の意見では最低行為でしょ。なのになんでわたしが責められるの?


だけど、わたしも、責められなかった。

いちばんにしてくれないなら要らないと思って、手を伸ばしもしなかった。



──── 「アリスがなんで一番にこだわるのかは知らないけど、それなら自分で自分のこと好きになってやれよ」


知ろうとしてくれたってよかったでしょう。