世界でいちばん 不本意な「好き」



出店をまわったり、自分たちのカメラで写真を撮る姿を撮影したり、音声を録ったり…撮影の方法も様々。

撮れた映像を編集班にまわして、できあがったものを後日メッセージIDに送信。学内での学園祭だからこそできることだと思う。



「うわ…本当に本物の久野史都だ…!」

「なんか信じられなかったけど本当にチウガクの生徒してるんだ」

「かっっっっっっこよすぎない?この世の人間だと思えないんだけど」

「あたし、2年前のドラマにどハマりして初めてBlu-ray買ったんだよね。実物もかっこいい…」

「ずっとファンでした…っ」


撮影中、ふみとに対しての言葉はいくつも聞いた。

それに対して照れくさそうにしたり、悠々と対応したり…慣れた様子というか、横顔が、なんかいつもとちがうというか。


本当によろこんではいると思うんだけど、なんか、完全にアイドル。余所行き。そんな感じ。

イメージをくずさないように…ってしてるみたい。



「芸能人にもいろいろあるっぽいね」


ふみとがバンドのほうに行って、わたしたちは休憩に入ったころ、なんとなく一緒にまわる空気になった穂菜美ちゃんがそうつぶやいた。

意外。穂菜美ちゃんがそんなこと言うなんて。


「うん。なんかいつものふみとじゃなかったね」

「や、あたしに対してはいつもあんな感じだよ?」

「え、そうなの?」

「うん。最初に告ったからかなー。でもしかたなくない?芸能人、しかもあの国民的アイドルがクラスメイトになるなんて誰の人生にも起こることじゃないもん。ちょっとでもチャンスがあるなら特別な人と付き合ってみたいし」


わたしと考えかたは正反対だけど、でも、恋のしかたは少し似ているところがあるかもしれない。


「でもアリスといるときは高校生みたいになる」

「……」

「その姿もかっこいいからイケメンってずるいよね」

「…隣の席になったから、だよ」


きっとあの席じゃなかったら関係は変わってた。そんな気がする。もともと関わる気なんてなかったんだから。