鈍感なのはどっちだ、と言ってやりたい。
でも言えないから口を閉じる。頭いたい。左手もちょっとだるい。
「アリスが人気者なのはわかってるけど、明日、だめ?」
人気者のアリス、は、少しずつだけど剥がれ落ちてる気がする。うまく取り繕えないことが多くなった。
それはふみとと出会ったからだ。
「……やだ」
素直になんてなれないよ。
「…わかったよ」
だからいつもみたいに強引に来てほしいのに、そう思うときに限って来てくれない。
ふみとは、思い通りにいかない。
きっと何ひとつ叶えてくれない。
そういうひとだ。
「あとでな!」
だってほら、断った瞬間でも何事もなかったかのように笑えてるんだもん。
期待なんてぜったいにしちゃだめだ。
学園祭がスタートして一番最初に担当したのは同級生の女の子6人グループのロケ風ムービーだった。
「客観的に残してもらえるのってなんかいいよね!」
「今年の出し物もアリスが考えたんでしょ?すごくない?」
2年生のときに同じクラスだった子が2人いて会話が弾む。
「や、わたしは提案しただけなの。みんなをまとめてたのは委員の穂菜美ちゃんだし、機材とか集めて中心になって準備してたのはふみとだよ。クラスのみんなも勉強とか部活あるのにがんばってたし…」
「アリスは自分もすごいのにひけらかさないでみんなのこと褒められるんだよねー」
「そういうところ本当すごいよね。2年のころアリスがいたから楽しかったもん」
そういうつもりじゃないのにそう受け取ってくれるのは、みんなの心が広いからだと思う。
最後の学園祭だからか、同級生のお客さんとはとくに思い出話で盛り上がった。
「アリスに撮ってもらえるなんてうれしー。なんかリラックスできる」
カメラの技術なんて付け焼き刃なのにそう言ってくれる子もいてこっちがうれしかったり。うん、楽しい。よろこんでもらえてよかった。



