教室移動をしようと席を立つと同じタイミングで隣の席も動く。これはもう見慣れた光景。
当たり前のように隣に並んで歩きだすふみとを見上げると「ん?」と首を傾げて目を合わせてくる。
よくまあふつうの態度でいられるよね。
口うるさく言うのはやめたみたいだけど、それって自分がいそがしくなったからなだけじゃない?
変に構ってこなくなったのはよかったことなはずなのになんだかなあ。
紗依とあっことも合流して教室を出ると廊下にいた葉歌ちゃんが駆け寄ってきた。
「あっこちゃん、史都!今日お昼も練習できない?昨日うまくいかなかったところ、どうしてももう一度合わせたくて」
葉歌ちゃんは1年生のころ吹奏楽部に入っていたけど、たぶん同じ部活の穂菜美ちゃんとウマが合わなくてやめてる。
それ以来部活は入ってなかったと思う。ベースが弾けるなんて知らなかったよ。すごくうまかった。
「いいよねあっこ」
「もちろん。うちもブレス上手くできてないから練習したい」
「ありがとう。じゃあ寧音のことも誘ってくるからショーマくんに言っておいて!」
「はーい」
…はりきってるなあ。
隣のクラスに声をかけてる葉歌ちゃんの姿から目を反らす。
「葉歌ちゃんが楽しそうにしてると癒される~」
「なー。葉歌ちゃん、すげー音楽好きだよな。そういう気持ち目の当たりにすると引っ張られる」
このまえまで苗字で呼んでたのに。お昼はいつもわたしと食べていたのに。
ふみとの学校生活が広がっていくのを目の当たりにしてる。
ほらね。こうやって、離れてく。



