世界でいちばん 不本意な「好き」



ホームルームや放課後の時間、授業の合間で進めていた学園祭準備が、こだわりすぎて終わらず、励くん先生の授業をつぶして作業させてもらうことになった。

教室の装飾をふみとと紗依と作っているんだけど…



「史、……久野くん、エフェクトを入れるのってどうやるの?」
「ふみとでいーよ。エフェクトは───」

「史、……久野くん、どっちのピンクがいいと思う?」
「ふみとでいーよ。こっち!」

「ふみと!この羽のふわふわ可愛くできてる?もうちょっと揺れるようにしたほうがいいかな」
「そのままでもじゅうぶんいいと思う。つーか似合うね。天使みたい」


なにこれ。


ふみと、しゃべりかけられる回数多くない? 天使みたいって、ふつうそんなナチュラルに出るせりふじゃないでしょ。言われたクラスメイトの顔が真っ赤に染まってる。


人に慣れてるというか…手慣れている。ものすごく。

歯の浮くようなせりふが様になっている。アイドルってこわい…だれにでも言えちゃう、だれにでも言ってる、なんてやっぱりなにがいいのかわからない。



「こっちは手足りてるから、あっち手伝ってくれば」


冷たい言いかたになってしまった。


「え、本当?じゃあここ頼むな」

「……」


行くのかよ。社交辞令だったのに。

どう見ても手足りてないんですけど。なんなの?


まあふみとがいないほうが作業に集中できるからいいんだけどね。

だいたいみんなから頼られるようになったからって学園祭にはりきりすぎでしょ。