世界でいちばん 不本意な「好き」



なんでふつうに話しかけてくるんだろう。馴れ馴れしいし…一般人のことなんて何も考えてないんだ、きっと。


「ふみと久しぶりー、戻ってきたかー」

(れい)くん久しぶり!励くんが担任って知ってびっくりしたよ」

「びっくりしたのはこっちだよ。まさかかつてのクラスメイトの担任になるとは思わなかった」


え、励くん先生の同級生だったの?なにそれ……9歳も年上ってこと?

年上で、芸能人で…仲良く?できるものなの?
未知すぎてわからない。


「今日学校案内してくれない?俺がいた頃とちょっと変わってる」

「部活あるから無理。代わりにー……あ、有栖川、放課後お願いしていいか?」

「ええっ」


ちょっと待ってよ励くん先生…!2年の時からの担任だからか、学級委員の名残りなのか頼まれてしまった。


「今日はだめですっ」

「最近できた彼氏とデート?」

「そうです!」

「じゃ、その前に頼むよ。時間あるだろ?」


ないし…!


「やだやだやだ、汐くんのこと待たせたくないもん。早く会いたいし…遅れたら嫌われるかもしれないもん。やっぱり、ごめんなさいです」


それに、関わりたくないし。

汐くんより優先したいものなんてない。自分がそうしてほしいなら、自分もそうしなくちゃならない。それって常識だと思うの。