世界でいちばん 不本意な「好き」



「キーボードは寧音誘ったら?」

「たしかに!誘ってみるわ」


ふみとの頼みならやると思う。そう思って提案したのショーマがしっかり反応した。もうどうにでもなれ。


「俺歌あんまり得意じゃないからだれか上手い人いたらツインでやりたいなって思ってて。良い人知らない?」


あー…あっこがそんなようなこと言ってたな。


ん?歌が上手い人を探してるってことだよね。

目の前に座るあっこを見る。



「あっこが歌えばいいんじゃない?」


そう提案したのはわたしじゃなくて紗依だった。


「ええっ、うち!?」

「あっこ上手いじゃん。ね、アリス」


わたしも思ったよ。ちゃんと思って、提案しようとした。

それなのにどうしてか、一瞬言葉に詰まった。


「あ、うん。1年のころのカラオケ大会でピカロの曲うたってたよね。すごい上手だった」

「本当?今度聞かせてよあっこ」

「う、うん…じゃあ史都、一緒にカラオケ行こ」

「行きたい!いつバイト休み?」

「えっ…」


こっちを向いて聞いてくる。なんでわたしに聞いてくるの。



あっこの表情が複雑そうに歪む。

きっと、すごく、勇気を持って誘ったんだってわかる。それにのに…なんで、わたしなんか、いなくてもいいでしょ。


「しばらく休みないから、わたし抜きで行ってきなよ」


そう言うしかない。


「しばらくってどれくらい?」

「しばらくだってば。新人さんに教えたりするの」


でた、引かない。

まだ納得してないような表情を浮かべている。嘘を言ってるつもりはないのに、なんでかな、後ろめたいような気持ちになる。