世界でいちばん 不本意な「好き」



ちゃんとふみとに断ろう。

一緒に歩く意味も、迎えに来てもらう理由も、わたしたちにはないんだから。



「もうすぐ学園祭あるけどバイト漬けは変わらず?」


気を遣ってくれたのか紗依が話を変えてくれた。
申し訳なくてホイップを多めに入れてドリンクをつくる。


チウガクは外部内部関わらず進学する生徒が大半だから、体育祭がなくて、外部の生徒は参加できない学園祭が6月にある。修学旅行は夏休み明けで、冬は有志で合唱祭。

修学旅行までにお金を貯めておきたいから最近バイトを増やしていた。


「今年は実行委員もないし、バイトは変わらず入ろうと思ってるかな」

「毎年頼まれてたもんね」

「バイトばっかりじゃなくてたまには遊んでね」

「じゃあシフト出たら言うね」

「さっきアリスも言ってたけど、史都も誘って遊ぼ」


げ。

プライベートで遊ぶ気はさらさらない。ショーマのライブの時はイレギュラーだ。


そう思ってるはずなのにまた自分の意思に反して無意識な言葉が出ていたみたい。


あいまいに笑っておくと「最近のおまえ、史都史都が加速してね?」と甲斐くんが不機嫌そうにつぶやいた。

片想い中の彼にとってあのひとの存在はおもしろくないよね。


「しかたないでしょー?まさか史都とこんなふうに関われるなんて…前世のうち、どんだけ徳積んだんだろ」


あっこは鈍感なのか、気にしていないのか、甲斐くんの気持ちなんておかまいなし。フビンだ。


「甲斐くん大丈夫だよ。あっこにとってふみとはアイドルのふみとだから」

「それが最近そうでもねーみたいなんだよ」

「え?」


さっきのわたしの話を聞いたときの反応。

それはわたしがブラピのサインをもらったふみとをうらやましがったときのものと同じだと思っていた。



「…うちね、本気で史都のこと、好きになっちゃいそうなんだ」



……は、い?