世界でいちばん 不本意な「好き」



どれくらい好きだったんだろう。


言うほどの想いじゃなかったってこと?それとも、言えないくらい好きだったってこと?

好きだったひとと再会してどうしてそんなにふつうな態度でいられるのかな。


いつも余裕で。素直なはずなのにどこか内側が不透明。


たぶんわたしはふみとのことを何も知らない。

どうしたら、教えてくれるんだろう。



「めずらしくね?」

「え?」

「俺のこと聞いてくるの」


そうだよ、へんだよ。なんで知りたがってるの。
どうだっていいじゃんか。


「寧音から音彩先生とふみとが同級生だったって聞いて…そんなの、否が応でも気になるじゃん」


ただそれだけだよ。
特別なことなんてなにもない。


「俺が音彩のこと好きだったってよく気づいたね」

「や…なんとなく、だよ」

「察しがいーのな」

「……」


気づきたくなかったよ。だってなんか、もやもやする。

どんな学校生活を送っていたのか。わたしがぜんぶを知ることは、きっとできない。


知る理由も必要もない。



「アリス、ふみと!こっちきてー!」


学童の傍まで行くとミカちゃんが駆け寄ってきた。

間に入りふみとの左手とわたしの右手がミカちゃんの手に繋がれる。そのままぐいぐいと連れていかれ学童前まで行くと生徒たちが集まっていた。


しゃがみ込むみんなを頭の上から覗くと、その中心に2匹の子猫の姿。


「わ、かわいい!」
「わ、かわいい!」


思わず漏れた声がふみとと重なる。一言一句同じなの、ちょっとはずかしい。


「学童で飼えないかな!?」

「かわいいよ~」


すごい小さい。どこから来たんだろう。


「もしかしたらヨソの子かもしれないから学長に聞いてみようか」


ひょいっとふみとが1匹を持ち上げる。

なんの躊躇いもないその行動に、みんなの視線が一気に集まった。