世界でいちばん 不本意な「好き」





学童に向かおうとうわばきからローファーに履き替えていると、ふみとの手元から何かが落ちた。

それを拾うと後ろからショーマが覗き込んできた。


「お、連絡先書いてあんじゃん」



まるい文字が綺麗に並んでいる。


久野史都さんへ
仲良くなりたいです。もしよかったらメッセージください。
ID→××× 3年1組 倉前 葉歌(くらまえ ようか)



可愛いピンク色のメッセージカードを一通り読み上げてから「葉歌(はっか)ちゃんじゃん」と楽しそうな声で言う。


「明日断りに行かないと」

「え、なんで?仲良くなりたいって書いてあんのに」

「連絡先は教えられない決まりなんだ」


そういえば知らないな。知らなくていいけれど。携帯を触っているところすらあまり見たことがない。


「ふうん。でも仲良くなるぶんにはいーの?」

「え、まあ…友達、とかなら」

「トモダチねー。この文面にこのカード…同じ女としてどう?」


まさかこの流れで話しを振られるとは思っていなかった。

どう、と聞かれても。


「そんなの本人じゃなきゃわからないよ。明日断るついでに聞いてみれば」

「いや聞けるかよ。友達になりたい?それとも付き合いたい?って?大半の子が付き合いたいって言うだろそりゃ」

「それはショーマのものさしでしょ。もしかしたら友達になりたいだけかもしれないじゃない」

「ちがうかもしれねーだろ」

「ちがかったとしてそれがなに」

「いやおれらにとってはべつになにもねーけど、なんかトゲトゲしてんな、アリス」