世界でいちばん 不本意な「好き」



向かい合うのって、きんちょうする。
慣れてないからだ。それしかないでしょ。


「せっかく楽しいのにふつうに話しもできないなんて淋しいじゃんね」


その9年と、そのまえの日々と、今。

どれがいちばん、楽しい?


「わたしはただ…バレたら学校来れなくなるんじゃないかと思ったの。そうしたら元も子もないでしょ」


べつにそんなこと、どうでもいいじゃん。

久野ふみとが隣の席じゃなくなったらせいせいするし、今でも、学校なんてやめて元の世界にもどったほうがいいんじゃないかって思ってる。



「はは、ほんと優しいな」

「……っ」


だから優しくなんてないよ。

何の確証もないはずなのに信じきったような桃花眼から目を背けた。



「気にしなくていいなら、もうしない」

「うん。ふつうに名前も呼んでよ」

「…べつに呼びたくないから呼んでないだけだし」


ああもう、ぜんぶバレていて、はずかしい。

隠すのはへたくそなくせに。


「ほらポテト食べて。ひとりじゃ食べきれない」

「……しかたないなあ」


ほらへたくそ。食いきれないって言うけどわざとじゃん。

分けるために買ってくれた大きいサイズのポテト。お礼を言いたいのに言わなくてもいいって態度のせりふ。優しいのはどっちだよって言いたくなった。