世界でいちばん 不本意な「好き」



ハンバーガーショップに入って、お肉と野菜が入ってケチャップで味付けされたシンプルなバーガーだけを注文した。

飲み物はお水でいいし、水筒だって持ってきている。


わたしのほうが先に注文したものができあがったから席についた。


土曜のお昼前だからか勉強や読書をしている学生が多い。あまりたくさんの人はいないけど、久野史都がいるってバレないように気をつけなきゃ。

席もはじっこにしたし、窓を見るように座ってもらえばまだリスクは減らせるだろう。



「席ありがとー。ポテト半分にしよーな」


なのに。


「なんかアリスと向かい合って座るのって新鮮かも」


こっちはいろいろ考えてるのに。


「中庭で昼食べるとき、俺の前に座んないようにしてんのバレてるからな。あっこが前、紗依が隣のはじっこ。頑なすぎだろ」

「ちょっと、うるさい」


なるべく小声でしゃべろうとか思わないわけ?

ひとさし指をたててジェスチャーもしてるのにのん気な顔で向かいに座ってる。ついさっきプレミアムさを自覚しなよって言ったばかりなのにぜんぜん無自覚。


「学校の敷地内でも暗い道でもないんだから」

「大丈夫だって。こそこそして縮こまってるほうが逆にあやしまれたりするんだよ」

「こそこそして損はないと思うんだけど…」


だって見つかったら騒ぎになる。くわしくないわたしでも、それくらいわかるよ。