世界でいちばん 不本意な「好き」



「はあ…最後に史都とハイタッチしたのっていつだっけ」

「前のハイタッチ会、たしかうちらが中3のときじゃなかった?」

「そうだあ…はあ、会いたいなあ」

「いや、毎日会ってるじゃん」

「そうだけど!」


思わずつっこむと「ちがうの」みたいなニュアンスのそうだけどが返ってくる。感覚がわからないよ。


「あっこ、今する?」

「な…だ……だめだよっ。そういうことじゃないの。ほかのファンの子たちには味わえないようなことをこれ以上味わっちゃだめなのっ」


せっかくの特権を使わないらしい。いじらしいというか、なんというか。

ふみとはうれしそうに笑いながら差し出した手を引っ込めてる。


「史都が復帰したら、ハイタッチしてもらいに行くね」



……あれ。


そっか。

そうだった。


「うん、楽しみにしてて」


ふみとには、帰る場所があるんだ。



王子様の格好。このひとにとってはこっちよりあのダサい格好のほうがコスプレなのかも。


むしろ此処にいるほうがおかしいくらい、本当は、こんなふうに画像のなかの人なんだ。

なんかそういうの、わすれていた。


へんなの。久野史都のファンっていう人が、わたしの周りにたくさんいるのにね。