待ち人、音信なし


いきなり深い。
まだ浅いところにあった片足も落ちる。

水の嫌な冷たさが足に張り付く。

怖い。

掴むものがなくて、取り敢えず陸の方へと手を伸ばした。

ぱし、とその手を取られる。
次の瞬間、猫のように脇に手を突っ込まれて河から出された。

ぷらーん、と自分の足が浮いている。

「……あ、りがとうございます」

無言の圧が怖い。

そのまま陸の乾いているところまで運ばれる。

す、とノアさんが正面にしゃがんだ。

「怪我は」
「ないです、すみません」
「タオル持ってくる」

自分で行く、と思ったが、水分を含んだ靴の感覚が気持ち悪かったので、甘えた。