待ち人、音信なし


夜空には星が出ている。
ノアさんの斜め後ろを歩きながら、それを見上げる。

私の浮かべた花は、今どこに居るんだろう。

「ご馳走さまでした」
「ああ」
「ノアさんは、何の花を浮かべたんですか?」

答えるか分からないけれど、尋ねてみた。

立ち止まり、こちらを見る。
あ、やっぱり菫色。

「百日草」

答えてくれた。

「バス」

それから私の乗るバスを指差した。

「失礼します、おやすみなさい」
「ああ」

慌てて頭を下げて小走りする。
「おやすみ」と後ろから聴こえた気がして、振り向く。ノアさんはこちらに背を向けて歩き出していた。