貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 だが、額になにかが触れたからか。

 アローナは寝ぼけたまま、猫が顔を洗うように、こしこしとおでこを(こす)りはじめる。

 (ぬぐ)うなっ。

 ……しかし、このまま此処にいたら、朝まで、なにもしない自信はないな。

 そうジンは思ったのだが。

 出ようとした扉には鍵がかけられていた。

「こらーっ」

「今夜はそこでおやすみくださいーっ」
と扉の向こうからフェルナンが叫んでくる。

 何故、一国の王がソファに丸まって寝ねばならんのだっ。